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最高裁判所第一小法廷 昭和42年(オ)1181号 判決 1968年6月06日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人副島武之助の上告理由第一点および第三点について。

原判決添附の別紙図面によれば、「本件係争地の南側三又路に存するコンクリートの標柱を基点(イ)とする。」と記載されており基点(イ)点は確定されているし、その余の所論各点も原判決挙示の鑑定人梅崎浩一の鑑定の結果に徴すれば、十分特定し得るから、未だ原判決の主文を以つて、不明確の違法あるものとはいえず、また原判決に所論審理不尽、理由不備の違法があるともいえない。論旨は理由がない。

同第二点および第四点について。

地方自治法二六〇条の規定は、「字」の区域を新たに画し、または確定している「字」の境界を変更する場合等につき定めた規定であつて、「字」の境界自体が争われている場合には適用のない規定であるから、所論同法違反の主張は本件に関係がない。そして原判決挙示の証拠によれば原審の事実認定は肯認し得ないものではなく、原判決には所論の違法はない。所論は結局原審の違法にした証拠の取捨判断、事実の認定を非難するに帰し、採ることを得ない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 岩田 誠 裁判官 入江俊郎 裁判官 長部謹吾 裁判官 松田二郎 裁判官 大隅健一郎)

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